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平均賃金の算定については,労働大臣の定めるところによります(労基法12条8項)。 解雇期間中の賃金の支払企業が,合理的な理由なく社員を解雇した場合には,社員が解雇されてから無効判決を得るまでの期間は,民法536条2項の企業の「責二帰スヘキ事由」による休業として,社員は解雇期間中に支払われなかった賃金を請求することができます(もちろん,労働基準法26条の休業手当の適用もあります)。

解雇期間中の賃金の額ですが,裁判所の傾向としては,当該社員が解雇されなかったならば,労働契約上確実に支払われたであろう賃金の合計額ということのようです。
そして,その算出については,通勤手当のような実費弁償的なものや,時間外労働に対する残業手当のように現実に行わなければ請求権が発生しないものなどは除外されているようですし,賞与などのようにその額が出勤率,査定,企業業績などによって異なって算定されているものについては,社員の平均額とか,当該社員の解雇前の実績など,最も蓋然性の高い判断基準を用いて算出されているようです。
では,解雇された社員が,解雇の無効判決を得るまでの間に,他の企業で働いて収入を得ていたような場合に,その社員の賃金はどうなるのでしょうか。
民法536条2項は,「債権者ノ責二帰スヘキ事由二因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキハ債務者ハ反対給付ヲ受クル権利ヲ失ハス。
但自己ノ債務ヲ免レタルニ因リテ利益ヲ得タルトキハ之ヲ債権者二償還スルコトヲ要ス」と規定しており,解雇された社員の収入がこのただし書の償還すべき利益に該当するかということが,まず問題になります。
そして,償還すべき利益に該当するとすれば,労働基準法26条の休業手当との関係もあり,どの程度の割合で償還すべきことになるのかが,次の問題となります。
この点について,最高裁判例は,その収入が副業的であって,解雇がなくても当然に取得しうるなど特段の事情のない限り,就労義務を免れたことにより得た収入は,民法536条2項ただし書の償還すべき利益であって企業に償還すべきであるが,解雇された社員には,労働基準法26条によって解雇期間中,平均賃金の100分の60以上の休業手当を保障されているので,企業が償還できる限度は雇用期間中の賃金のうち,平均賃金の4割までであり,それ以上は許されないとしています(By部隊事件・最高2小判昭37.7.20民集16巻8号1656頁,あけぼのタクシー事件・最高1小判昭62.4.2判時1244号126頁)。

同一労働同一賃金の支払とは賃金の支払における同一価値の労働に対する男女同一賃金の原則は,1919年のベルサイユ条約以来,国際的に確立されてきたものであり(同条約13編(労働編)のなかに「同一価値ノ労働二対シテハ男女同額ノ報酬ヲ受クベキ原則」を掲げています),わが国ではこれを定めたILO100号条約(1951年)を昭和42年に批准しています。
しかし,年功序列賃金が基本となっているわが国では,賃金に関する取扱いについては,次で説明する「男女同一賃金の原則」(労基法3条)による差別的取扱の禁止などはみられますが,「同一価値労働男女同一賃金の原則」が設定されているわけではありません。
このような状況のなかで,よく問題となるのが勤務時間も仕事の内容も通常の一般社員とまったく,ないしほとんど同じパートタイマーの一般社員との賃金格差の問題です。

この点について,最近の事案ですが,同一価値労働男女同一賃金の原則はこれに反する賃金格差が違法となるという意味での公序とみなすことはできないが,同一価値労働男女同一賃金の原則の基礎には均等待遇の理念があり,それに反する賃金格差は公序良俗違反を招来する場合があるとし,臨時女性社員の賃金が女性正社員の8割以下となるときは,公序に違反するとした裁判例があります。
すなわち,「原告らライン作業に従事する臨時社員と,同じライン作業に従事する女性正社員の業務とを比べると,従事する職種,作業の内容,勤務時間および日数ならびにいわゆるサークル活動への関与などすべてが同様であること,臨時社員の勤務年数も長い者では25年を超えており,長年働き続けるつもりで勤務しているという点でも女性正社員と何ら変わりがないこと,女性臨時社員の採用の際にも,その後の契約更新においても,少なくとも採用される原告らの側においては,自己の身分について明確な確認をもちがたい状況であったことなどにかんがみれば,原告ら臨時社員の提供する労働内容は,その外形面においても,会社への帰属意識という内面においても,女性正社員と全く同一であるといえる。

したがって,正社員の賃金が年功序列によって上昇するのであれば,臨時社員においても正社員と同様ないしこれに準じた年功序列的な賃金の上昇を期待し,勤務年数を重ねるに従ってその期待からの不満を増大させるのも無理からぬところである。

このような場合,会社は,一定年月以上勤務した臨時社員には正社員となる途を用意するか,あるいは臨時社員の地位はそのままとしても,同一労働に従事させる以上は正社員に準じた年功序列制の賃金体系を設ける必要があったというべきである。
しかるに,原告らを臨時社員として採用したままこれを固定化し,2ヶ月ごとの雇用期間の更新を形式的に繰り返すことにより,女性正社員との顕著な賃金格差を維持拡大しつつ長期間の雇用を継続したことは同一(価値)労働同一賃金の原則の根底にある均等待遇の理念に違反する格差であり,単に妥当性を欠くというにとどまらず公序良俗違反として違法となるものというべきである。
もっとも,均等待遇の理念も抽象的なものであって,均等に扱うための前提となる諸要素の判断に幅がある以上は,その幅の範囲内における待遇の差に使用者側の裁量も認めざるをえない。
したがって,原告ら臨時社員と女性正社員の賃金格差がすべて違法となるというものではない。

前提要素としてもっとも重要な労働内容が同一であること,一定期間以上勤務した臨時社員については年功という要素も正社員と同様に考慮すべきであること,その他本件に現われた一切の事情に加え,会社において同一(価値)労働同一賃金の原則が公序ではないということのほか賃金格差を正当化する事情を何ら主張立証していないことも考慮すれば,原告らの賃金が,同じ勤務年数の女性正社員の八割以下となるときは,許容される賃金格差の範囲を明らかに越え,その限度において会社の裁量が公序良俗違反として違法となると判断すべきである」(M警報器事件・長野地裁上田支判平8.3.15労経速1590号3頁)と判示しています。
思うに,パートタイマーやアルバイトなどの臨時社員は,雇用調整の変動要員として,必要に応じて雇用するのが一般的であり,正社員のように定年までを前提とする終身雇用形態での労働契約を締結しているわけではなく,1年以内の雇用期間を定める非終身雇用の形態で労働契約を締結しているものであり,残業とか配転などの人事異動を義務づけることは稀です。

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